ピストバイクで後悔する前に、確かめておく5つ
後悔の中身は、だいたい決まっています。乗り味の好みではなく「買う前に確かめられたのに、確かめなかったこと」です。戻せない順に並べました。
ピストをやめた人の話を読んでいくと、理由はだいたい同じところに集まります。速さや見た目に幻滅した、という話はあまり出てきません。出てくるのは、ブレーキ、坂、タイヤ、そして「部品が合わなかった」です。 どれも買う前に確かめられます。
1. リアブレーキの穴が無いフレームがあります
いちばん戻せない項目です。日本の公道では前後にブレーキが必要ですが、競技用のトラックフレームには、リアブレーキを付ける穴が最初から無いものがあります。
実例として、FUJI の TRACK ELITE は 「ブレーキ装着不可のため、日本での公道走行はできません」と公式に書かれています。 いっぽう同じトラックシリーズの TRACK PRO は「ブレーキ装着可能」です。同じブランドの同じ系統でも割れます。
フレーム一覧では、この項目をジオメトリより先に、 同じ表の行として出しています。収録している16モデルのうち、公式の文言で確定できたのは8モデルで、残りは「無い」のではなく 「メーカーが書いていない」状態です。
2. ギア比が重すぎると、坂で降りることになります
完成車の初期ギア比は、平坦を流す前提で組まれていることがあります。 変速が無いので、選んだ1つの比で坂も信号待ちからの発進も全部やることになります。
ここは後から直せる部分です。コグを1〜2枚大きくするだけで体感は変わります。 いまの数字と、変えたあとの数字はギアインチ計算で先に比べられます。 「軽くしたい」だけならチェーンリングを小さくする手もありますが、BCDが144だと44Tあたりが下限なので、 そこから先はコグ側で調整することになります。
3. タイヤの減り方が、ギア比で決まります
スキッドで止める場面が増えると、後輪の同じ場所ばかりが削れます。どこが削れるかはギア比で決まっていて、 比を約分した分母の数だけ接地点が散らばります。
48×16 は約分すると 3/1 になり、接地点は1箇所だけです。同じ場所が削れ続けます。 48×17 は約分できないので17箇所に散ります。 歯数が2枚違うだけで、タイヤの寿命が桁で変わります。 自分の組み合わせはスキッドパッチ計算で確かめられます。
4. ステムやハンドルが、思ったより自由に選べません
競輪用のフレームや2000年代前半までのピストは、フォークのコラムが1インチのネジ切りのことがあります。いまの主流は 1-1/8 のネジ無しで、径が違ううえに固定方式そのものが別です。
見た目で選んだステムが付かない、という後悔はここから来ます。1インチと1-1/8の違いにまとめてあります。 手持ちの組み合わせは互換チェックで先に確かめられます。
5. 中古は「四角い=同じ」ではありません
中古のクランクとBBを別々に買うときに起きます。四角テーパーには複数の規格があり、見た目が同じでも互換性が無いものがあります。
代表がスギノの SG75 で、メーカー自身が「スギノ独自の規格であり、 他のテーパー規格とは互換性がありません」と明記しています。 四角同士なので物理的には嵌まってしまうぶん、間違えたときの結果が重い部分です。 シマノの FC-7710 に至っては四角テーパーですらなく、スプライン式です。
四角テーパーの規格と互換チェックで、買う前に確かめられます。
逆に、後悔の理由になりにくいこと
「変速が無いと不便」は、買う前に想像がつくぶん、後から出てくる不満としては多くありません。 重量や見た目も同じです。後から効いてくるのは、確かめられたのに確かめなかった項目のほうで、 それがこのページに並べた5つです。
現物を見て決めたい場合はピストを扱うお店で相談できます。 規格から調べる場合は規格一覧にまとめてあります。
出典
- FUJI TRACK ELITE(日本正規・シフタ)
- FUJI TRACK PRO(日本正規・シフタ)
- スギノ 75 / BB-SG75(SG75テーパーの説明)
- Sheldon Brown — Fixed Gear(スキッドと接地点)
トルクの数値と、ブレーキに関わる判断は、このページではなくメーカーの指示と整備をする人の判断に従ってください。